お子様の近視、どう防ぐ?将来の目の健康を守るために、今日からできること | 北綾瀬うめもと眼科|ららテラス北綾瀬の眼科|駅直結・土日祝も診療|

お子様の近視、どう防ぐ?将来の目の健康を守るために、今日からできること

こんにちは、「北綾瀬うめもと眼科」院長の梅本です。

日々の診療の中で、お子様の視力について心配される保護者の方からご相談をいただく機会が非常に増えました。

  • 「最近、目を細めてテレビを見ている気がする…」
  • 「学校の視力検査で、ついにC判定をもらってきてしまった…」

このようなお話を聞くたびに、保護者の方のお気持ちが痛いほど伝わってきます。

スマートフォンの普及や学習環境の変化に伴い、子どもの近視は今や深刻な問題です。

文部科学省の最新の調査でも、裸眼視力1.0未満の小学生は37.88%、中学生では61.23%と過去最も高い水準にあります。「メガネをかければ見えるから」と、つい考えてしまいがちですが、実は近視は単に視力が落ちるだけの問題ではありません。

将来的に、網膜剥離や緑内障といった、失明にもつながりかねない重い目の病気を引き起こすリスクを高めてしまうことが分かっています。

大切なお子様の目を守るために、保護者の皆様にはぜひ知っておいていただきたいことがあります。

この記事では、近視のメカニズムから最新の予防法、そして当院で行っている専門的な治療まで、詳しく解説していきます。

目次

そもそも、近視はなぜ起こるのでしょうか?

私たちの目は、入ってきた光を角膜と水晶体(レンズ)で屈折させ、網膜(フィルム)の上でピントを合わせることで物を見ています。近くを見るときは、水晶体がグッと厚くなり、ピントを合わせています。

お子様の近視のほとんどは「軸性近視」といって、眼球そのものが前後に伸びてしまうことで起こります。眼球がラグビーボールのように楕円形に変形し、網膜が本来の位置より後ろにずれてしまうため、手前でピントが合ってしまい、遠くがぼやけて見えるのです。

重要なのは、一度伸びてしまった眼球の長さ(眼軸長)は、二度と元には戻らないということです だからこそ、成長期にいかに近視の進行を食い止めるか、という「予防」と「進行抑制」が何よりも大切になります。

なぜ今、これほど子どもの近視が増えているのか

原因は、私たちの生活習慣の劇的な変化にあります。特に大きな要因は2つです。

1.「近業(きんぎょう)」時間の圧倒的な増加

スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機、オンライン授業など、現代の子どもたちは30cm以内の近い距離を集中して見続ける「近業」の時間が非常に長くなっています。近業を続けると、ピントを合わせる目の筋肉が常に緊張し、眼球が伸びる一因になると考えられています。

2.「外遊び」の減少と「太陽光」の重要性

近視増加の最大の要因ともいわれるのが、「外遊び」の減少です。

実は、太陽光に含まれる「バイオレットライト」という光を浴びることが、眼球の伸びを抑制する効果がある、と近年の研究で分かってきました。つまり、外で遊ぶことは、単に遠くを見て目を休ませるだけでなく、太陽光の力で近視の進行にブレーキをかけてくれるのです。

【今日からできる】ご家庭でできる近視予防の新常識

専門的な治療を始める前に、まずご家庭で取り組んでいただきたいことがあります。毎日の少しの工夫がお子様の目の未来を守ることにつながるので、ぜひ意識してみてください!

【最重要】目標は「1日2時間」の外遊び

これが最も効果的な予防策です。曇りの日や日陰でも、屋外の光は室内の何倍も明るく、効果は十分に期待できます。激しい運動でなくても、お散歩やおしゃべりでも大丈夫。「屋外で過ごすこと」を意識して、平日の放課後や週末の時間を使ってみましょう。

【習慣に】学習・読書・ゲームの「30-20-20」ルール

目の負担を減らす休憩の習慣です。アメリカの眼科医会も推奨しています。 「30分間近くを見たら、20フィート(約6m)以上遠くを、20秒間ながめる」 タイマーなどを使って、「休憩タイムだよ!窓の外を見てみよう!」と親子で楽しく習慣づけてみてください。

【基本】正しい姿勢と部屋の「明るさ」

  • 本やタブレットとの距離は30cm以上離す
  • 寝転がっての読書やスマホ操作はNG
  • 部屋全体の照明に加え、手元を照らすデスクライトを併用する

基本的なことですが、これらを意識するだけでも目の負担は大きく変わります。

それでも近視が進んでしまったら…当院にご相談ください

予防を心がけても、遺伝的な要因もあり近視が進行してしまうことはあります。大切なのは、そこで諦めずに専門的な治療を検討することです。

「黒板の字が見えにくい」「目を細めることが増えた」 お子様の様子に変化を感じたら、まずは眼科を受診してください。特に学校の視力検査でB判定以下だった場合は、詳しい検査をお勧めします

一般的なメガネやコンタクトレンズは、あくまでピントを合わせて見やすくするための「矯正器具」であり、近視の進行そのものを止める効果はありません。

近視の進行を本気で食い止めたい場合、専門的な「近視進行抑制治療」が必要となります。

当院では、お子様一人ひとりの目の状態やライフスタイルに合わせて、複数の治療法をご提案しています。

  • 低濃度アトロピン点眼:進行を緩やかにする効果が認められている目薬による治療です。
  • オルソケラトロジー:夜寝ている間に特殊なコンタクトレンズを装用し、日中の裸眼視力を改善させると同時に、近視の進行を抑制する治療法です。

これらの治療は、お子様の将来の目の病気のリスクを減らすための、いわば「未来への投資」です。 少しでもご不安なこと、気になることがございましたら、どうか一人で悩まず、お気軽に当院までご相談ください。

お子様の目の状態を正確に診断し、ご家族が納得できる最善の治療法を一緒に見つけていきましょう!

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